2016年 08月 08日
【イケカコをエクセルで】#1CVP分析
Q:従来(特に過年度生)の「事例Ⅳ」指導、学習の誤りを5つ挙げ、それぞれ対策を述べよ。
A:
①問題集を回転し、解き方を覚える学習に終始。
②?
③?
④?
⑤?
本日8/8(月)から「イケカコをエクセルで」を5連投。これは主に初学スト生、また従来の学習姿勢の誤りを認めた多年度生を対象に、コロンブスの卵的な「事例Ⅳ」対策の提案。
コロンブスの卵=革新は既得権者から否定、嫌がられるから、現状問題の指摘→改善案のQCストーリーで対抗。では今日はトップバッター①を説明。
■誤り①:問題集を回転し、解き方を覚える学習に終始■
→診断士「1次」は知識試験=問題集回転での暗記が有利。
だがその延長で「財務」をやり、見たことのある問題なら解ける受験生が続出。
解析
→解き方体得しても理解が弱く、初見問題に解法を適用する力を欠く。
対策の立案
→イケカコを問題集でなくテキストとして使い、論点の意図・用途を理屈で補う。
対策の実施
→エクセル解きをやる、やらないは自己判断で自己責任。
変な所で安心してよいが、「財務」「事例Ⅳ」が苦手な場合、それは自分のせいでなく、教え方が悪いせいと開き直ってOK。
※会計人コース 2013.9 脱マル暗記講座 から引用
さらに悪いのは、イケカコを問題集として数回転させる学習法。1年かけ実力UPと勘違いするのは構わないが、そんなゆっくりペースは実務で通用しない。「イケカコ=問題集」の思い込みで、昨年筆者も電卓使用で5週かけたが、答え見ながらエクセルで解けば1週間もかからない。
■#1CVP分析~事前知識■
・
章 | イケカコもくじ | 評 | イケカコ「要点整理」 |
1 | 全部⇔直接原価計算 | B ★★☆ ★☆☆ ★☆☆ ★★☆ | . 全部⇔直接原価計算の違い 直接原価計算の利点 営業利益の違い 固定費調整 |
2 | CVP分析(基礎) | S ★★★ ★★☆ ★★★ ★★☆ ★★★ | . CVP分析とは 固変分解 CVP図表 目標利益等達成売上高 CVP分析に関連した指標 |
当論点のベースは簿記。以下Lecture1, 2の要点を、表の形でまとめ。
①原価の分類
②原価計算の種類
③全部⇔直接原価計算
④仕掛品・製品勘定(BOX図)
⑤CVP分析
要点は上記5つ。これを各例題・問題で以下の様に学ぶ。
① 原価の分類 | ② 原価計算の種類 固変分解 | ③ 全部⇔直接 原価計算 損益計算書 | ④ 仕掛品・製品 (BOX図) | ⑤ CVP分析 | |
§1 例題1 | ○ | ○ | ○ | ◎ | |
問1 | ○ | ○ | ○ | ||
問2 | ○理論 | ||||
§2 例題1 | ◎ | ||||
例題2 | ◎ | ○ | |||
問1 | ○ | ○ | ◎目標売上 | ||
問2 | ○ | ○ | ◎感度分析 |
①原価の分類
②原価計算の種類
個別 | 総合 |
実際 | 標準 |
全部 | 直接 |
原価計算は上記の6種類。CVPで扱う直接原価計算出題は、同時に総合・標準原価計算の知識も問う(後述)。ここを絡ませて難易度を上げるのが「Ⅳ」の常套手段。
③全部⇔直接原価計算の損益計算書
まず損益計算書を書き、見比べる(イケカコ P.2)。
全部原価計算 | .. | 直接原価計算 | |||
売上高S | 売上高S | ||||
売上原価C | 変動費V | 直接材料費DM 変動加工費VK 変動販売費S | |||
売上総利益GM | 貢献利益CM | ||||
販売管理費S | 固定費F | 固定加工費FK 固定販売費FS | |||
営業利益OI | 営業利益OI |
全部原価計算は、原価・販管費を各々集計し、営業利益を計算すればOK。直接原価計算(CVP分析)は、利益計画策定や予実比較、つまり固定費をどれだけ回収し、どれだけ儲けたかを知るのに使う。
この時、計画作りをしたいので、変動費Vは実際原価でなく標準原価を使うのがミソ。この文の意味がわかればCVPスラスラレベル。
④仕掛品・製品(ボックス図)
期首・期末に在庫がある場合、ボックス図を使って解くのが総合原価計算の特徴。だが診断士「財務」「Ⅳ」はここを教えない。簿記2級以上が有利と言われる根拠がここ。
⑤CVP分析
CVP分析で問われるコトはごく単純。ではなぜほぼ毎年出題し、かつ受験生の点数がバラつくか。それを忖度するのが短期合格センス。
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■エクセル開始■
<Lecture 1>
例題:一見簡単に見え、原価分類・総合原価計算・直接原価計算によるPL・仕掛品勘定を幅広く問う総合問題。初学者はまずここでうんざりするが、慌てない。
問題1:多数の条件が与えられるが、「例題」解いた直後にやれば、「月末月初在庫に含まれる固定製造原価を求めるだけ」と気づく。このショートカットが大事(後述)。
問題2:理屈。やらなくて良いが、やれば身に付く。
<Lecture 2>
例題1:高低点法・最小二乗法による固変分解y=ax+bの問題。(問1)は計算過程が端数になっても、そのまま解く。(問2)は診断士試験には出ない。やたら難しいが結果はほぼ同じと解って安心。
例題2:CVP分析の王道論点。ちゃんと解く。
問題1:王道論点にいろんなおまけがつく総合問題。「Ⅳ」はこのレベルを出題し、受験生の点差がつく。
問題2:条件(1)で原価率・額の与え方を変え、条件(2)で感度分析。診断士受験生では歯が立たず、逆にこのレベルで訓練積むと荒稼ぎ。なお「多桁式予算」はいわゆるびっくり箱要素。
■参考:イケカコの難しさ■
イケカコを最初に解いて感じるのは、「やたら難しい」。
その理由は以下。
①計算結果が端数になる。 →意図的
②与えられる計算条件が複雑怪奇。→意図的
③1次「財務」の知識だけでは解けない。→天然
①②は意図的。1次「財務」マークの如く適当に選べば当たる、を許容しないのが、会計士試験の世界。逆に初見では解けないと割り切り、解答見ながら計算過程をトレースすればOK。
③は天然。意思決定会計とは要するに「簿記1級」。つまり「簿記2級」原価計算の知識が前提。従い不明点はどんどん先送りし、後から戻ってやり直す。
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■今日のまとめ■
意思決定会計と言っても、所詮「簿記1級」のつまみ食い。出題範囲は有限。
「簿記1級」への手出しは不要。だが周囲の「解き方を覚える学習」と決別し、問題集高速回転で知識のつながりを磨くのが、「事例Ⅳ」荒稼ぎスタイル。では第1回まとめ。
・固変分解は高低点法。総合問題の中で変動費率の計算出題あり。
・直接原価計算の損益計算書は、自力で書ける様にする。
・仕掛品・製品勘定BOX図が原価計算の基礎。だが「Ⅳ」では出ない。
・CVP分析が「Ⅳ」の花形。だが縁の下の力持ちの他論点も重要。
byふうじん
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