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【回答根拠予想】H28事例Ⅲ

試験委員として納得の出来栄え。
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オーソドックスで解きやすいと評されるH28「事例Ⅲ」。でもそれ、きちんと「事例Ⅲ」対策をするから解きやすいのであり、

努力・実力に応じ点差がつく出題は良問。

ではなぜ、努力・実力に応じ点差がつくか=出題者の工夫を忖度。

事例Ⅰに学び、旧組織をひきずった部門のカベ(作業者の移動阻害)を指摘。
事例Ⅱに学び、2つの新事業を選択させて、目先を惑わす。
例Ⅳに学び、限界利益悪化の要因を、原材料費・労務費・経費に分けて分析。

筆者は時間不足で分析しきれていないが、他にも工夫が見られ、

鋳物・金型で受験生を型に嵌め、やたら短納期ばかり急かす従来の出題傾向

・・に比べ、「組織学習(事例Ⅰ~Ⅳコラボ)」により、出題の質をカイゼン。この試験委員のドヤ顔を、「最後まであきらめないことをあきらめさせない!」ため、この1年進歩がなかった試験ブログ、もとい受験生応援サークルの方々にお伝えしたい・・という嫌味はさておき、H28事例Ⅲ。
★オープンイノベーションの前提★
当試験、出題変化を上回る成長しないと合格しにくい。よって目指す答案は無難だが、学習姿勢は積極果敢。ミスを辞さずに新規チャレンジ、間違えたら互いに修正しあって、組織成長。

■回答根拠予想~H28事例Ⅲ■
□問題文□
第1問 (40字、40字、20点) 過去・SW・分析・難易度:易

カット野菜業界におけるC社の(a)強みと(b)弱みを、それぞれ40字以内で述べよ。

【回答方針案】
強み弱みを各40字→「事例Ⅱ」っぽく根拠を2つずつ抜いて編集力。
強み:【第1段落】【第3段落】【第6段落】→競合の卸売・仲卸業に対し、生産者であるX社のグループであり、社長1人で営業できるほど、受注力がある。
弱み:【第3段落】→原材料を通年確保しにくく、【第5段落】3ヶ月の休業。【第4段落】組織的な生産管理の欠如と高コスト体質。

第2問 (160字、30点) 現在・対応策・提案・難易度:中

現在C社が抱えている最大の経営改題は、収益改善を早急に図ることである。生産管理面での対応策を160字以内で述べよ。

【回答方針案】
160字→5センテンス。「対応策は~」で始め、「収益改善」の原因分析を3センテンス、最後に「期待効果」を1センテンスで締める。
対応策:【第9段落】【第10段落】顧客別の編成・グループ→全社的(機能別)に横串。
原因分析:【第4段落】原材料費率、【第4+10段落】作業員の移動制限→労務費UP、【第10段落】輸送費用ロス
期待効果:【第9段落】管理項目を生産高から限界利益に変更し、収益改善。

第3問 (120字、20点) 現在・対応策・提案・難易度:中

C社では、クレームを削減する改善活動を計画している。このクレーム改善活動を最も効果的に実施するために、着目するクレーム内容、それを解決するための具体的対応策を120字以内で述べよ。

【回答方針案】
120字→4センテンス。「クレーム内容は~」で始め、「原因分析」を2センテンス、「対応策+期待効果」1センテンスで締める。
クレーム内容:【表2】カット計上不均一
原因分析:【特性要因図~生産の4M】作業方法→標準化不足、人→教育不足
対応策+期待効果:IEなどに深く踏み込むより、【第4段落】組織的で効果的な生産管理、あたりで可愛らしく逃げるのが安全回答。

第4問 (160字、30点) 将来・新事業+対応策・提案・難易度:中

C社社長は、経営体質の強化を目指し、今後カット野菜の新事業による収益拡大を狙っている。またその内容は、顧客からの新たな取引の要望、およびC社の生産管理レベルや経営資源などを勘案して計画しようとしている。この計画について、中小企業診断士としてどのような新事業を提案するか、その理由、その事業を成功に導くために必要な社内対応策とともに160字以内で述べよ。

【回答方針案】
160字→5センテンス。新事業が2択で提案できるので悩ましいが、出題の本質はそちらでなく、「まず今の経営課題=経営体質の強化」を達成することに高配点。「○○事業を提案する」で切り出し、「経営体質の改善」に絡めて理由を3センテンス、最後に「社内対応策+期待効果」で1センテンス。

提案する事業:【第7段落】設備投資を必要とする高付加価値製品
提案の根拠:【第11段落】現在の製造設備、体制ではクレーム続発、【第12段落】①施設設備面 ②作業方法の改善、【第5段落】休業期間の発生→稼働率改善
社内対応策+期待効果:【第8段落】現在の生産管理を見直しつつ、新規事業での収益拡大。一石二鳥でメシウマ。


□問題本文□
第1問水色第2問緑色第3問黄色第4問桃色
[C社の概要]
【第1段落】 1⃣ 企業概要
C社は、調理用のカット野菜を生産、販売している。C社は、2013年に野菜を栽培するX農業法人から分離し、設立された企業である。販売先は総菜メーカーや冷凍食品メーカーが中心で、主に量産される総菜などの原材料となるカット野菜を受注生産し、年商は約2億円である。

【第2段落】 1⃣ 事業内容
カット野菜とは、皮むき、切断、スライス、整形など生野菜を料理素材として下処理した加工製品である。外食産業や惣菜メーカーなど向けの千切り、角切りなどに加工された製品が需要の中心で、最近ではスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されている袋に入ったサラダやカップサラダにも広がっている。国内の野菜需要全体に占めるカット野菜需要の割合は年々増加している。

【第3段落】1⃣ 事業の特性
カット野菜は、販売先の意向を受けて、野菜の流通を担っている卸売業者や仲卸業者が、野菜の販売方法の一つとして始めたと言われている。またカット野菜は、販売先から要望される通年納品に応えるため、常に一定量の野菜を確保する必要がある。そのため同業者の多くが野菜の調達能力が高い卸売業者や仲卸業者である。

【第4段落】1⃣2⃣ 原材料費と労務費 (事例Ⅳ視点)
X農業法人では、市場に出荷できない規格外野菜の有効活用を目的として2000年からカット野菜の加工を始めたが、その後受注量が増加したため、仕入単価の高い市場規格品の使用や他産地からの仕入れも必要となり、原材料費率が大きく増加した。そこで事業収支を明確にし、収益性の向上に努めて加工事業として確立するために分離し、X農業法人の100%出資子会社としてC社が設立された。C社の設立当時作成された社内コスト管理資料(次ページ表1)では、予想されていた以上の原材料費と労務費の上昇によって限界利益がマイナスとなっていることが判明し、この傾向は今でも改善されていない。これは、X農業法人から独立し改善に向けて努力しているものの、いまだに効果的な生産管理が組織的に行われていないことによる。

【第5段落】1⃣ 操業の季節性
工場操業状況は、規格外野菜を主に原料として利用していた時には収穫時期から約半年間の季節操業となっていたが、市場規格品の使用や他産地からの仕入れによって工場操業期間は長くなったものの、C社に受け継がれた後でもまだ約3ヶ月の休業期間が例年生じている。販売先からは通年取引の要望がある。

【第6段落】 1⃣ 組織構成、2⃣ グループ別の配置
C社の組織は、X農業法人時代の加工部門責任者が社長となり、製造3グループと総務グループで構成されている。社長は、全体の経営管理の他に営業活動も担っている。各製造グループに責任者として正社員の製造リーダー1名が配置され、合計25名のパート社員が3つの製造グループに配置されている。X農業法人時代から同じ製造グループに勤めているパート社員が多く、他の製造グループへの移動はない。総務グループは、正社員1名とパート社員2名で構成されている。
※余計なお世話だが、△移動→○異動。第10段落の「移動」は○。

【第7段落】 4⃣ 新規事業の2択(事例Ⅱ視点)
現在取引関係にある顧客や関連する業界から、C社とX農業法人との関係に注目した新たな取引の要望がある。その中でC社社長が有望と考えている二つの新事業がある。一つは、カット野菜を原料としたソースや乾燥野菜などの高付加価値製品の事業であり、設備投資を必要とする事業である。もう一つは、新鮮さを売りものにしている中小地場スーパーマーケットなどから要望がある一般消費者向けのサラダ用や調理用のカット野菜パックの事業であり、現在の製造工程を利用できる事業である。

【第8段落】2⃣4⃣ 経営課題+中小企業診断士への相談
C社社長は、まず現状の生産管理を見直し、早急に収益改善を図ることを第1の目標としてるが、それが達成された後には新事業に着手してさらなる収益拡大を目指すことを考えている。


[生産概要]
【第9段落】 2⃣ ダメダメの理由 顧客別編成~「機能が共有されない」
C社のカット野菜製造工程は、顧客別に編成・グループ化され、現在3つの製造グループで製造を行っている。各製造グループは主に素材選別、皮むき、カット、洗浄、計量・パック・検査、出荷の各工程を持っている。各製造グループは、生産高を日常の管理項目として管理してきた。

【第10段落】 2⃣ ダメダメの理由 顧客別編成~「生産管理もバラバラ」
顧客からの注文は、各製造グループに直接入り、各製造グループで各々生産計画を立て、原材料調達から出荷まで行っている。製造グループごとの生産管理によって、同種類の原材料調達における単価の差異、加工ロスによる歩留りの低下、出荷のための輸送費用のロス、製造グループ間での作業員の移動の制限などが見られる。

【第11段落】3⃣ ダメダメの理由 ~クレームの発生=Qですらダメダメ
製造部門の大きな問題は品質不良であり、前ページの表2に示すような製品クレームが発生している。その原因を製造3グループ全員でブレーンストーミングし、作成した特性要因図が図1である。
※特性要因図=生産の4M Man, Machine, Material, Method

【第12段落】 4⃣ 販売先から愛想をつかされる寸前?
また食品工場としての施設・設備面などの衛生管理、作業方法などの衛生管理、どちらの管理レベルにも課題があり、販売先からの改善要求もある。


■今日のまとめ■
H28「事例Ⅲ」の出題はオーソドックス、従い、事前に「Ⅰ」「Ⅱ」との題意の違い、つまり文意をこねくり回したり、ついナイスアイデアを提案するのでなく、

結論先出し+原因分析のなぜ?なぜ?+因果で期待効果

で回答要素を構成したかで、点差が分かれる。そして今年の「事例Ⅲ」高得点がそのまま合否を分ける可能性が大。あぁ、試験委員のドヤ顔をもう一生忘れない? ではまとめ。
・試験慣れすると見過ごしやすいが、H28「事例Ⅲ」は、Ⅲの本質の理解度を問う良問。
・強み弱みは「事例Ⅰ、Ⅱ」っぽく、新規事業は「Ⅱ」っぽく、限界利益管理は「Ⅳ」っぽい。
・つまり日本の製造業はQCDのD=短納期力勝負の枠を一歩抜け出た良問。
・合格実力者はこの「Ⅲ」を確実に取る。やはり今年は2年目Sの当たり年?
byふうじん
イメージ通りのイラストが見つかりドヤ顔。

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by dojonagoya | 2016-10-28 04:24 | 中小企業診断士試験

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