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【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線

今週も始まりました、サタデーデイライトエコノミクスアワー。
土曜の昼下がり、皆様いかがお過ごしでしょうか。

こんにちは、 Xレイ です。

土曜といえばお休みの方が多いのでしょうか。
私はといいますと半日の勤務を終えて、午後からは、先週親知らずを抜くという暴挙に出てしまったためその経過観察で歯医者さんへ、という何とも気乗りしない一日を過ごしております。
そんな抜歯後の痛みの中書き上げた今週のエコノミクスアワー。
早速いってみましょう。


前回に引き続き、完全競争市場における生産者の供給曲線の導出。

その準備として、前回はまず総費用曲線と平均費用曲線をみてきました。
今回は、平均可変費用曲線そして限界費用曲線と進んでいきましょう。

それでは、平均可変費用曲線から。
前回の平均費用曲線と考え方はほとんど同じです。


さて、以下のような総費用曲線から考えてきました。
グラフ1
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_08384694.jpg
振り返ると、総費用曲線とは生産量から総費用を知るためのグラフで、その総費用とは固定費用と可変費用に分けられます。
固定費用とは、生産量が0のときでもかかってしまう費用。
可変費用とは、生産量に依存する費用。
ぞれらをグラフに示してみると
グラフ2
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_08391257.jpg
こんな感じ。
つまり可変費用は(総費用ー固定費用)で求められます。

そこで実際に値を求めてみると
生産量100個のとき 可変費用は 100000-30000=70000円
生産量200個のとき 可変費用は 120000-30000=90000円
生産量300個のとき 可変費用は 150000-30000=120000円

いま考えたいのは、平均可変費用曲線。
平均可変費用とは、生産量一個当りにかかる可変費用のこと。
つまり、可変費用を生産量で割ると求めることができます。
よって、実際の値は
生産量100個のとき 平均可変費用は 70000/100 で 700円。
生産量200個のとき 平均可変費用は 90000/200 で 450円。
生産量300個のとき 平均可変費用は 120000/300 で 400円。

これら平均可変費用は総費用曲線のグラフ上では
グラフ3
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_17392967.jpg
このようにY切片から各々点A、B、Cを通るように引いた直線の傾きで表すことができます。
ちなみに平均費用のところでも言ったのですが、平均可変費用=傾き これをグラフから感覚的に捉えるのは少々難しいかもしれません。なのでひとまず「そういうもんなんだ」と覚えておいてもよさそうです。

さておき、平均可変費用を図示してみましょう。
グラフ4
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_17442518.jpg
生産量300個の手前(正確には275個)までは減少し、そこを境に今度は増加していく。
グラフ3では、Y切片から引いた直線の傾きは、総費用曲線と接する点までは小さくなっていきますが、そこから先は大きくなっていくことが確認できます。

ここで、前回求めた平均費用曲線と併せて描いてみると
グラフ5
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_07453847.jpg
このようになります。
平均可変費用は固定費用が入っていない分、常に平均費用より小さくなります。
それをグラフでいうと、平均可変費用曲線は常に平均費用曲線の下に位置するということです。

と、ここまでが平均可変費用曲線。


今度は、限界費用曲線です。

限界費用とは何か。
経済学における限界費用とは簡単に言うと
「次の一個を生産するのに追加でかかる費用」
のことです。

経済学で時折出てくる、限界○○という言葉。
「限界」と聞くと多くの方は「limit」をイメージすると思うのですが、経済学の「限界」は「marginal」という単語を訳したものです。
その和訳が適切ではないので分かりづらいのですが、「限界」=「ほんの少し変化したときの」 といった感じで捉えておけばいいと思います。

さておき、これまでの平均費用、平均可変費用と同じように実際の値を求めようとすると、こちらは少々面倒です。一応説明しますが、読み流して結果だけを見てください。

まず、3次関数とした総費用曲線の関数式を求めます。
総費用関数を y=ax^3+bx^2+cx+30000 として、
x=100のとき、y=100000
x=200のとき、y=120000
x=300のとき、y=150000
をそれぞれ代入すると
100000=1000000a+10000b+100c+30000
120000=8000000a+40000b+200c+30000
150000=27000000a+90000b+300c+30000
の3式を得ます。
このa、b、cの連立3元1次方程式を解いて
a=1/100、b=-11/2、c=1150
よって総費用関数は
y=(1/100)x^3-(11/2)x^2+1150x+30000
と分かります。
限界費用関数は総費用関数を微分すると得られるので
y'=(3/100)x^2-11x+1150
そこに、x=100,200,300を代入して

【結果】
生産量100個のとき 限界費用は 350円
生産量200個のとき 限界費用は 150円
生産量300個のとき 限界費用は 550円

とこんな感じで求められます。

これら限界費用は総費用曲線のグラフ上では
グラフ6
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_17462310.jpg
各々の点の接線の傾きで表されます。
この 限界費用=接線の傾き というのは、限界費用の意味するところを考えて直感的に捉えたいところで、これが微分の感覚です。
少々難しくなるのですが、この辺りが腑に落ちると物理の変位、速度、加速度といった関係もよく分かって、それに見立てたマクロ経済学の投資の加速度原理など「なるほど、だから“加速度”原理なのね」と納得いくはずです。

話を戻して、限界費用を図示してみると
グラフ7
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_17472556.jpg
このようになります。
生産量200個手前(正確には183.33・・個)までは減少し、そこを境に今度は増加していく。
グラフ6では、総費用曲線上の各点の接線の傾きは、変曲点と呼ばれる点までは小さくなっていきますが、そこから先は大きくなっていくことが確認できます。

そして、グラフ5に併せて描いてみると
グラフ8
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_08011038.jpg
この3曲線の位置関係で最大の特徴は、
「限界費用曲線は平均費用曲線と平均可変費用曲線の最低点を必ず通る」
ということです。

なぜか。

繰り返しですが、総費用曲線のグラフでは
・平均費用は、原点から各点に引いた直線の傾きで、
・平均可変費用は、Y切片から各点に引いた直線の傾きで
表されます。
【中小企業診断士】経済学 グラフ~平均可変費用曲線と限界費用曲線_a0354838_17492444.jpg
各々の費用はどこで最小値をとるか?
つまりグラフでいうと、どのような状態になったとき直線の傾きが最も小さくなるのか?

それは、各々直線が総費用曲線に接するときです。

一方、限界費用は各点の接線の傾きで表される。
要するに限界費用を表す直線は、常に総費用曲線に接している。

よって、平均費用、平均可変費用が最小値をとるときにそれぞれ
平均費用=限界費用
平均可変費用=限界費用
となるのです。

どうでしょうか。
この辺りがグラフから理解できれば、もう苦手とはならないのでは、と思うのですが。


さて、前回から総費用曲線、平均費用曲線、平均可変費用曲線、限界費用曲線をみてきました。

生産量○○個のときは○○円といったように、わざわざ具体的な値を使ったのは
「何だかグラフがよく分からない」
といったときにはこのように
「それっぽい値を具体的にいくつか定めて考える」
というのが有効な手段だと思うからです。

はるか以前、はじめてグラフを習ったとき。

リンゴ1個買うと100円、2個で200円、3個では300円という表から始まり、次にそれらを、横軸に個数、縦軸に値段をとったグラフにプロットしていく。そして、すべての点を結んでみると直線になった。

というような手順を踏んだはず。

どんな複雑な曲線でもそれは無数の点の集合体。
そのうちのいくつかに着目をすると、分かることもあるのではと。


ということで、今回は以上です。
次回は、利潤最大化行動を考え、損益分岐点、操業停止点そして供給曲線と進んでいきましょう。

それでは、また。 Xレイ



by dojonagoya | 2016-04-09 12:00 | 中小企業診断士試験

中小企業診断士一発合格道場からスピンアウトした6代目とその仲間たちのブログです。


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