2016年 06月 30日
【中小企業診断士】経済学 ワルラス・マーシャル調整過程#2
さあ始まりました、昨日に引き続きイブニングエコノミクスアワー。
真っ直ぐ帰宅かそれとも寄り道か、今日の帰りはいずれでしょうか。
こんばんは、 Xレイ です。
今日6月30日は何の日かといいますと『アインシュタイン記念日』だそうです。
1905年の6月30日、アインシュタインが相対性理論に関する最初の論文「運動物体の電気力学について」を提出したと。
文系の方にはあまりなじみがないでしょうか、特殊相対性理論。
これ、何が相対的かといいますと『時間』や『長さ』。
ごく簡単に
『速く動いているモノは時間が遅く流れる』
『速く動いているモノは縮んで見える』
ということで『時間』や『長さ』は絶対的なものではないと。
まあ、このように、世の中絶対的なものなどなかなか無いのかなと。
例えば、『幸せ』といったものもどうでしょう。
『心理的に身近な人との相対的な比較によって決まる』
かねてからそのように思っているのですが、そうしますとポジショニング論みたいになってきましてね。
なかなか後ろ向きな思考になってしまいがちです。
そのように様々な場面で、何かと比較し比較されながら生きていくのでしょうが、得られた結果の満足度は主観的に決められる。
そこの設定を厳しくしてしまうと、日々大変なことも多いのかなと思う次第です。
って、これまた今日は何の話でしょうか。
いやいや、本題とまいりましょう。
さて、気を取り直して、まずは前回の復習から。
このような完全競争市場では、外的圧力(価格規制、課税など)が加わらない場合、必ず均衡状態に落ち着く。
それでは仮に、一時的に不均衡な状態にあったとき、どのようにして均衡状態に至るのか。
そこには『ワルラス的調整過程』、『マーシャル的調整過程』という2つの解釈が存在する。
図2
『ワルラス的調整過程』
『マーシャル的調整過程』
各々このような市場の動きを指しているが、いずれにせよ均衡状態になるのならば、解釈の違いなどどちらでもいいのではないか?
というのが前回までのお話です。
それでは、以下のような場合を考えてみましょう。
図3
図1との違いは需要曲線が右上がり。つまり、ギッフェン財の場合です。
このとき各々の調整過程が働くと市場はどうなるか。
これはさらに二つのパターンに分けて考えなければいけません。
図4
見た通り、共に需要曲線は右上がりなのですが
図4左は 〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕
図4右は 〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕
となっています。
この各々についてみていきましょう。
Ⅰ.〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕 の場合
まずは、図5の状態から『ワルラス的調整過程』が働く場合。
ワルラス的調整過程は、まず『供給量』と『需要量』に着目をするのでした。
図6
すると、このように『超過需要』となっていることが分かります。
そこで、ワルラス的調整過程とは
超過需要なので、P'よりも価格はさらに上がっていき、均衡価格から離れていってしまいます。
よって、図5の状態からワルラス的調整過程が働くと、市場は均衡していかない。
つまり『ワルラス的には不安定』となってしまうのです。
【マーシャル的調整過程】
次に、図5の状態から『マーシャル的調整過程』が働く場合。
マーシャル的調整過程は、まず『供給者価格』と『需要者価格』に着目をするのでした。
すると、このように 『供給者価格Ps』>『需要者価格Pd』 となっていることが分かります。
そこで、マーシャル的調整過程とは
供給者価格>需要者価格 なので、S'よりも生産量を減らしていき、いずれ均衡数量に落ち着きます。
よって、図5の状態からマーシャル的調整過程が働くと、市場は均衡状態になっていく。
つまり『マーシャル的には安定』となるのです。
ここまでが、需要曲線が右上がりで〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕となっている場合。
よろしいですか。次にまいりましょう。
Ⅱ.〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕 の場合
図10
同じく図10のように、市場価格が均衡価格よりも高いP'となっているとき、各々の調整過程が働くと市場はどのようになっていくのかを考えましょう。
【ワルラス的調整過程】
図11
『供給量』と『需要量』に着目をすると『超過供給』となっています。
なので、P'よりも価格が下がっていき、いずれ均衡価格に落ち着きます。
よって、図10の状態からワルラス的調整過程が働くと、市場は均衡状態になっていく。
つまり『ワルラス的には安定』というわけです。
【マーシャル的調整過程】
『供給者価格』と『需要者価格』に着目をすると、供給者価格Ps<需要者価格Pd となっています。
ならば、S'よりも生産量をさらに増やしていき、均衡数量から離れていってしまいます。
よって、図10の状態からマーシャル的調整過程が働くと、市場は均衡していかない。
つまり『マーシャル的には不安定』となってしまいます。
以上をまとめると、需要曲線が右上がり(ギッフェン財)のとき
Ⅰ.〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕 の場合
Ⅱ.〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕 の場合
ということになります。
どうでしょうか。
前回のような「供給曲線右上がり、需要曲線右下がり」といったごく一般的なパターンならば、どちらの調整過程によっても市場は均衡状態となります。
なので、価格や生産量の捉え方の違いはあれど、別段どちらでもいいのではと思ってしまいます。
しかし、今回のように「供給曲線、需要曲線ともに右上がり」、ひいては次回に見ますが「供給曲線、需要曲線とも右下がり」といったパターンでは、その捉え方の違いによって均衡状態に至らないケースもあるということです。
今回は以上ですが、少々ややこしかったでしょうか。
まずは場合分けですね。
そこをしっかりと意識しながら考えていかないと混乱します。
そして、もう一つ。各々の調整過程の動きについて。
ワルラスは『価格』による調整。
マーシャルは『数量』による調整。
テキストなどにはこのように書かれていますか?
そこで例えばワルラスを考えるときに ワルラス=価格 との記憶から、はじめにその価格に注目すると訳が分からなくなるんです。
まず見るのは数量(供給量、需要量)。
その『数量の不均衡を解消』しようと『価格』が動く。
マーシャル調整はその逆。
まず見るのは価格(供給者価格、需要者価格)。
その『価格の不均衡を解消』しようと『数量』が動くんです。
さて次回は、ワルラス、マーシャルの安定、不安定を、グラフで見極めるポイントをお教えしましょう。
すべての場合の、安定、不安定を丸暗記では負担が大き過ぎます。
それでは、また明日。 Xレイ
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真っ直ぐ帰宅かそれとも寄り道か、今日の帰りはいずれでしょうか。
こんばんは、 Xレイ です。
今日6月30日は何の日かといいますと『アインシュタイン記念日』だそうです。
1905年の6月30日、アインシュタインが相対性理論に関する最初の論文「運動物体の電気力学について」を提出したと。
文系の方にはあまりなじみがないでしょうか、特殊相対性理論。
これ、何が相対的かといいますと『時間』や『長さ』。
ごく簡単に
『速く動いているモノは時間が遅く流れる』
『速く動いているモノは縮んで見える』
ということで『時間』や『長さ』は絶対的なものではないと。
まあ、このように、世の中絶対的なものなどなかなか無いのかなと。
例えば、『幸せ』といったものもどうでしょう。
『心理的に身近な人との相対的な比較によって決まる』
かねてからそのように思っているのですが、そうしますとポジショニング論みたいになってきましてね。
なかなか後ろ向きな思考になってしまいがちです。
そのように様々な場面で、何かと比較し比較されながら生きていくのでしょうが、得られた結果の満足度は主観的に決められる。
そこの設定を厳しくしてしまうと、日々大変なことも多いのかなと思う次第です。
って、これまた今日は何の話でしょうか。
いやいや、本題とまいりましょう。
さて、気を取り直して、まずは前回の復習から。
図1
それでは仮に、一時的に不均衡な状態にあったとき、どのようにして均衡状態に至るのか。
そこには『ワルラス的調整過程』、『マーシャル的調整過程』という2つの解釈が存在する。
図2
『ワルラス的調整過程』
・超過供給のとき(供給量>需要量)は価格が下がる
・超過需要のとき(供給量<需要量)は価格が上がる
『マーシャル的調整過程』
・供給者価格>需要者価格 のとき生産量を減らす。
・供給者価格<需要者価格 のとき生産量を増やす。
各々このような市場の動きを指しているが、いずれにせよ均衡状態になるのならば、解釈の違いなどどちらでもいいのではないか?
というのが前回までのお話です。
それでは、以下のような場合を考えてみましょう。
図3
このとき各々の調整過程が働くと市場はどうなるか。
これはさらに二つのパターンに分けて考えなければいけません。
図4
見た通り、共に需要曲線は右上がりなのですが
図4左は 〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕
図4右は 〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕
となっています。
この各々についてみていきましょう。
Ⅰ.〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕 の場合
図5
そこで図5のように、市場価格が均衡価格よりも高いP'となっているとき、各々の調整過程が働くと市場はどのようになっていくのかを考えましょう。
【ワルラス的調整過程】
需要曲線が右上がりで〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕の場合です。
そこで図5のように、市場価格が均衡価格よりも高いP'となっているとき、各々の調整過程が働くと市場はどのようになっていくのかを考えましょう。
【ワルラス的調整過程】
まずは、図5の状態から『ワルラス的調整過程』が働く場合。
ワルラス的調整過程は、まず『供給量』と『需要量』に着目をするのでした。
図6
そこで、ワルラス的調整過程とは
・超過供給のとき(供給量>需要量)は価格が下がる
・超過需要のとき(供給量<需要量)は価格が上がる
図7
よって、図5の状態からワルラス的調整過程が働くと、市場は均衡していかない。
つまり『ワルラス的には不安定』となってしまうのです。
【マーシャル的調整過程】
次に、図5の状態から『マーシャル的調整過程』が働く場合。
マーシャル的調整過程は、まず『供給者価格』と『需要者価格』に着目をするのでした。
図8
そこで、マーシャル的調整過程とは
・供給者価格>需要者価格 のとき生産量を減らす。
・供給者価格<需要者価格 のとき生産量を増やす。
図9
よって、図5の状態からマーシャル的調整過程が働くと、市場は均衡状態になっていく。
つまり『マーシャル的には安定』となるのです。
ここまでが、需要曲線が右上がりで〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕となっている場合。
よろしいですか。次にまいりましょう。
Ⅱ.〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕 の場合
図10
今度は、需要曲線が右上がりで〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕の場合です。
同じく図10のように、市場価格が均衡価格よりも高いP'となっているとき、各々の調整過程が働くと市場はどのようになっていくのかを考えましょう。
【ワルラス的調整過程】
図11
なので、P'よりも価格が下がっていき、いずれ均衡価格に落ち着きます。
よって、図10の状態からワルラス的調整過程が働くと、市場は均衡状態になっていく。
つまり『ワルラス的には安定』というわけです。
【マーシャル的調整過程】
『供給者価格』と『需要者価格』に着目をすると、供給者価格Ps<需要者価格Pd となっています。
ならば、S'よりも生産量をさらに増やしていき、均衡数量から離れていってしまいます。
よって、図10の状態からマーシャル的調整過程が働くと、市場は均衡していかない。
つまり『マーシャル的には不安定』となってしまいます。
以上をまとめると、需要曲線が右上がり(ギッフェン財)のとき
Ⅰ.〔供給曲線の傾き〕>〔需要曲線の傾き〕 の場合
・ワルラス的には不安定
・マーシャル的には安定
Ⅱ.〔供給曲線の傾き〕<〔需要曲線の傾き〕 の場合
・ワルラス的には安定
・マーシャル的には不安定
ということになります。
どうでしょうか。
前回のような「供給曲線右上がり、需要曲線右下がり」といったごく一般的なパターンならば、どちらの調整過程によっても市場は均衡状態となります。
なので、価格や生産量の捉え方の違いはあれど、別段どちらでもいいのではと思ってしまいます。
しかし、今回のように「供給曲線、需要曲線ともに右上がり」、ひいては次回に見ますが「供給曲線、需要曲線とも右下がり」といったパターンでは、その捉え方の違いによって均衡状態に至らないケースもあるということです。
今回は以上ですが、少々ややこしかったでしょうか。
まずは場合分けですね。
そこをしっかりと意識しながら考えていかないと混乱します。
そして、もう一つ。各々の調整過程の動きについて。
ワルラスは『価格』による調整。
マーシャルは『数量』による調整。
テキストなどにはこのように書かれていますか?
そこで例えばワルラスを考えるときに ワルラス=価格 との記憶から、はじめにその価格に注目すると訳が分からなくなるんです。
まず見るのは数量(供給量、需要量)。
その『数量の不均衡を解消』しようと『価格』が動く。
マーシャル調整はその逆。
まず見るのは価格(供給者価格、需要者価格)。
その『価格の不均衡を解消』しようと『数量』が動くんです。
さて次回は、ワルラス、マーシャルの安定、不安定を、グラフで見極めるポイントをお教えしましょう。
すべての場合の、安定、不安定を丸暗記では負担が大き過ぎます。
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by dojonagoya
| 2016-06-30 17:00
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