2016年 07月 15日
【連投】過去問タテ解き財務・会計 #7 (9)CF作成
そして「では自分もCF計算書の勉強しなくっちゃ」と思わせるのが、出題側の思惑。なぜならCF計算書の出題は数字のお尻が±0になってピタリと当たり、知ってる⇔知らないで20点の差が開く。
営業CF+投資CF+財務CF=当期Cash増減額
だから皆夢中で勉強するが、「Ⅳ」の20点差だけで「2次」合否が決まる試験でいいの?
そもそもBS・PL作成能力を問わない試験で、
CF作成能力だけ求めるのは何か変。
と誰も指摘しないのが診断士受験界。そうなる理由は、CF計算書(昨年のコト)⇔FCF算出(ミライのコト)を、受験界総出で混同してるから。
~FCFの公式を使って確認~
①FCF=営業利益×0.6+減価償却費―設備投資額±運転資本の増減 ←ココ重要
②FCF=営業CF+投資CF
③営業CF(CF計算書)=経常利益+非資金費用-法人税等±運転資本の増減
※ファイナンスには無数の解き方があり、「これが正!」という定義はない。法律で言えば、成文法でなく慣習法。上記公式はわかりやすさ優先で、多少デフォルメ。より正しい定義は各自のテキストで確認願います。
①と③の違いをすぐ説明できる人材がどれだけいるか?
②の意味は何か?
H23だけ突然③のCF計算書が問われた理由は何か?
②の意味は何か?
H23だけ突然③のCF計算書が問われた理由は何か?
この3式を並べた時の疑問、違和感から、「ボクのCF計算書」を蹴っ飛ばす仮説のゲームが始まる。なお挑発的に回りくどく書いたが、以下に整理しても良い。
FCF=手段、途中経過 (企業価値やNPVの算出がゴール)
CF計算書=目的、ゴール (財務諸表の一つ)
手段が目的化するから受験が長期化・・くらいのチクリは許容いただき、今日は手段としてのFCF知識をタテ解き。
■早解きミスノート■
CF出題を少し捻るととDランク。
その理由は、問題集を解いて覚える学習への偏重。
その理由は、問題集を解いて覚える学習への偏重。
では筆者が早解きで間違えた1マーク。
H24第13問 Bランク
次のデータに基づいて、営業キャッシュフローを求めた場合、最も適切な金額を下記の解答群から選べ。
売上高:100百万円
現金支出を伴う費用:50百万円
減価償却費:15百万円
実効税率:40%
×ア 21百万円
×イ 35百万円
○ウ 36百万円
×エ 45百万円
この問題、前述FCFの公式①に代入すると瞬殺。だが筆者は税引後CIFボックスで解き、かつブランクのため税率をあべこべの場所に掛け、答えが見つからずドボン。
当問はFCFの公式で当たるBランク+基本重要。この時、公式で当てて満足するか、別解法「税引後CIFボックス」も使っておくかが、簿記の強み。
間違えて偉そうに言うのもアレだが、一度犯したミスを繰り返さないのが「学習能力」。
■今日のタテ解き■
CF計算書を学ぶとき、CF計算書⇔FCFの使い道の違いを意識。
当シリーズの読者なら、「事例Ⅳ」過去問5年分を自力で解き、以下に気づく。
○「事例Ⅳ」の解答要求はFCFの計算能力であり、
△5年前になぜか問われたCF計算書(H23第1問)は例外
細かくは解説しないが。CF計算書の受験指導と練習に夢中な周囲を尻目に、FCFを素早く計算し、NPVや企業価値の提案で稼ぐ方が抜け目ない。
※なおCF計算書をやるなではなく、(答えが必ず±0で一致し確実に稼げる論点だから)周囲の200%を当り前にやる。
Sランク論点 【2016年合格目標】【会計・財務】スピテキ斜め読み#7
・CF計算書の具体例
・営業収入
・間接法によるCF計算書の作成年
FCFの公式 →H24第13問(B)、H26第13問(D)、H27第9問(A)
正味運転資本(Working Capital) →H23第13問(D)、H24第14問(D)
その他→H24第4問(C)、H25第12問(B)
■FCFの公式①■
H26第13問 Dランク
以下のデータに基づいて、A社のフリー・キャッシュフローを計算した場合、
最も適切なものを下記の解答群から選べ。
【A社のデータ】
営業利益 200百万円
減価償却費 20百万円
売上債権の増加額 10百万円
棚卸資産の増加額 15百万円
仕入債務の減少額 5百万円
当期の設備投資額 40百万円
法人税率 40%
○ア 70百万円
△イ 80百万円
×ウ 120百万円
×エ 130百万円
当問もFCFの公式①を使う。だがDランクになる曲者が「仕入債務の減少5百万円」。これはマイナスが2回掛かり、「5百万円のCash out」とは直観で判断しにくい。従い選択肢イ 80百万円を選ぶドボンが多く、作問側がニヤリ。
対応策は、「負債が増えるとCash in」を自分なりにイメージ。一例として仕訳法。
買掛金 XXX / Cash XXX ←買掛金を支払うとCash out
Cash XXX / 買掛金 XXX ←その逆ならCash in※
※但し仕訳は自分で何度も手を動かし、体で覚える。肝心な所を外注し、他力本願で点取らせるほど仕訳=簿記の世界は甘くない。
H27第9問 Aランク
[解答群] キャッシュフローの減少額として最も適切なものはどれか。
×ア 減価償却費
○イ 仕入債務の増加
×ウ 棚卸資産の増加
×エ 長期借入金の増加
一見単なる知識問題に見えるが、FCFの公式①の問題。だが前年に比べ異様に簡単。この甘い話の翌年に何が起こるかは、容易に想像可。
■正味運転資本 Working Capital■
H23第13問
次のa~eのうち、正味運転資本の増加をもたらす要因の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。
△ a 固定資産の増加
△ b 固定負債の増加
× c 自己資本の減少
× d 流動資産の減少
○ e 流動負債の減少
[解答群
△ ア aとe
× イ bとc
○ ウ bとe
× エ cとd
× オ dとe
正味運転資本とは、FCFの公式①にある「運転資本の増減」そのもの。FCF計算、間接法営業CF計算の両方に関わり、目立たないが重要なサブ論点。
当問、e「流動資産の増加」は選べるが、a「固定資産の増加」、b「固定負債の増加」どちらを選ぶかで悩む。これ、テキストが教えてくれない「推定」が要るので、初見の時は解けなくても気にしない。
H23と連続出題だが、さらに捻ってくるのでDランク。Dランクとは「知ってる連中だけ当たる」問題なので、初見で解けずとも気にしない。
解法的には、流動資産、負債それぞれの増減額を弾けばよいが・・。これが「問題集の解法を覚える学習」と実務家の差。繰り返すけど解けなくても気にしない。
■今日のまとめ■
CF計算書は得手不得手、好き嫌いが明確。だがCF計算書とFCFは別論点と気づくと視界が変わる。CF計算書を突き詰めると、要は現金仕訳が切れるか否か。
仕訳を理解せず、CF計算書作成ばかり夢中なのは奇妙。
もっとも「事例Ⅳ」で最重要なFCFは公式やBOXで素早く正確に求め、企業価値・NPVで点稼ぐ。当記事もそうだが、試験ブログの妄言で右往左往するのは時間の無駄(=時間をつぶしたい人には最適!)。自分の得点は自力で稼ぐ。ではまとめ。
・CF計算書は難しい。H23「事例Ⅳ」出題のトラウマがさらに苦手意識に。
・FCF算出は難しくない。企業価値・NPV計算の手段であって、当たる設定。
・FCF算出は難しくない。企業価値・NPV計算の手段であって、当たる設定。
・FCFの公式は、覚えて大活躍。
・加えて実務で使う「税引後CIFボックス」併用で、FCF算出は荒稼ぎ。
・加えて実務で使う「税引後CIFボックス」併用で、FCF算出は荒稼ぎ。
byふうじん
以上から、H23「事例Ⅳ」CF計算書の題意は、公式暗記偏重学習への警告とわかる。
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by dojonagoya
| 2016-07-15 05:00
| 中小企業診断士試験