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【写経やってみる】H26事例Ⅰ

上位3割:余計なことしやがって。
中位4割:まぁそんなものかな。
下位3割:何が起きているか、ポカン。
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【写経やってみた】シリーズも今日から2周目。当シリーズの特徴は、

後講釈なら、誰でもすぐできる。

つまり、ウンウン唸り自力で解くのでなく、Web上の模範解答や過去問題集の解説を見て、解答と問題本文の根拠を色分けして紐つけ。すると、ざっとこの位はわかる。

・H26事例Ⅰは難しい。特に「考えられるか」=類推を要求。
・さらに「技術経営」「産学連携」と、馴染みの薄い方向に突っ走る。
・根拠の対応付けが難しく、段落内で複数問の根拠が混在。
・答えを見ても良くわからないのに、初見で解くのはなお大変。
・80分一生懸命解いたのに、過去問集の模範解答がぶっとびでがっかり。

そんな時に写経。難問解くのに、さらに訳ワカラナイ「後講釈」を追いかけても、頭に浮かぶのは「?」マークばかり。そうじゃなくって。

答えを先に見て、本文根拠⇔設問の対応を色付け。

今日の色付け結果はとてもカラフル、「こりゃ初見では俺には無理」と悟る。すると「類推するフリして根拠で稼ぐ」位の覚悟が決まる。


■写経の作法(例)■

(1)道具を揃える
・問題文、問題本文
・・PDFでダウンロード可
・模範解答、解説 ・・手持ちの過去問題集で可
・Excel、Word

(2)手順
①問題文を写経
・・Excelを使うと、後で属性・配点などの分析が可能
②問題本文を写経 ・・Wordが好適
③模範解答から、問題本文の該当根拠にマーキング
※今回の参考として主に「速修2次過去問題集」(山口正浩他、早稲田出版)を使用
④そこから先の自問自答
※時間ないときは、問題本文はPDFコピペ、問題文のみ写経、などのショートカットOK。でもショートカットするほど効果が半減。



■写経例:H26事例Ⅰ■
◆問題文◆

第1問 (120字、20点、現在、「環境変化」類推、難易度:中)
A社は、小規模ながら大学や企業の研究機関と共同開発した独創的な技術を武器に事業を展開しようとする研究開発型中小企業である。わが国でも、近年、そうしたタイプの企業が増えつつあるが、その背景には、どのような経営環境の変化があると考えられるか。120字以内で答えよ。

★120字あるので、3~4根拠が欲しい。1次「技術経営」の知識を頭に浮かべ、【第1段落】OEM生産(技術革新が速く、内製化しにくい) 【第4段落】人脈や技術を通じた外部連携 【第8段落】ベンチャー社長のアイデア 【第11段落】官公庁による助成金制度、あたりを並べる。

第2問 (100字、20点、過去、「理由」類推、難易度:易)
A社は、創業期、大学や企業の研究機関の依頼に応じて製品を提供してきた。しかし、当時の製品の多くがA社の主力製品に育たなかったのは、精密加工技術を用いた取引先の製品自体のライフサイクルが短かったこと以外に、どのような理由が考えられるか。100字以内で答えよ。よ。

★類推が求められる問題ばかりの中、1問位は易しいはずなので確実に根拠を抜く。100字→3根拠と考え、【第2段落】営業が1人で代替品に負ける 【第8段落】受け身の受注、【第9段落】設備が外注→独自技術の遅れ、でまとまる。

第3問 (100字、20点、現在、「課題」類推、難易度:中)
2度のターニング・ポイントを経て、A社は安定的成長を確保できるようになった。新しい事業の柱ができた結果、A社にとって組織管理上の新たな課題が生じた。それは、どのような課題であると考えられるか。100字以内で答えよ。

★100字→3文構成。「課題は~」で切り出し、【第8段落】レーザー用放電管事業の売上成長→販売機能の強化、【第9段落】OEM受注量の増・内製化→品質管理機能の強化、【第10段落】研究開発機能の増加あたりで上手くまとめる。

第4問 (100字、20点、現在、「理由」類推、難易度:中)
A社の主力製品である試験管の良品率は、製造設備を内製化した後、60%まで改善したが、その後しばらく大幅な改善は見られず横ばいで推移した。ところが近年、良品率が60%から90%へと大幅に改善している。その要因として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

★100字→3文構成。【第9段落】で「高い製造技術」と受け、【第2段落】研究開発部門による技術蓄積、【第2段落】中途採用者が持ち込むノウハウ、と並べればそれっぽい。

第5問 (100字、20点、将来、「施策」助言、難易度:高)
A社は、若干名の博士号取得者や博士号取得見込者を採用している。採用した高度な専門知識を持つ人材を長期的に勤務させていくためには、どのような管理施策をとるべきか。中小企業診断士として100字以内で助言せよ。よ。

★これは難問。問題本文の根拠も薄く、時間をかけずに「発明報酬」「環境整備」「ビジョンによる中長期目標」「外部連携」「後進の採用と育成」など、それっぽい1次知識を並べる程度??
ご協力のお願い
上記★マークは、既存書籍類を参考に、筆者が抜き書きした回答方針案。「俺の回答方針の方が良いぜ」「まだまだ今イチ。俺が一肌脱いでやる」方があれば、コメント欄にご記入頂けると幸いです。原則そのまま文中に掲載いたします。
☆皆が力を寄せてこそのオープンイノベーション☆

◆問題本文◆
以下本文のハイライト箇所は、それぞれ設問との対応を示す。
なお「これで決定!」ではなく、追加修正アイデアを承ります。
第1問水色第2問緑色第3問黄色第4問桃色第5問紫色


【第1段落】 会社概要
A社は、資本金2,000万円、売上高約3億5千万円、従業員数40名(正規社員25名、非正規社員15名)の精密ガラス加工メーカーである。1970年代半ばの創業から今日に至るまで、A社社長が代表取締役として陣頭指揮をとっている。現在、A社の取り扱っている主力製品は、試薬検査などに使用する理化学分析用試験管、医療機関などで使用されているレーザー装置、光ファイバーなどに用いるガラス管などである。売上のおよそ半分をOEM生産の理化学分析用試験管事業が占め、あとの半分をレーザー装置事業とガラス管事業でそれぞれ同程度を売り上げている。

【第2段落】 2⃣ 3⃣ 4⃣組織構成と人材配置
現在、A社の組織は、生産、研究開発を中心にした機能別組織である。営業担当者は1名で、取引先との窓口業務にあたっている。研究開発部門には、研究室と開発室に計6名の社員が所属しており、工学博士号を持つ社員もいる。研究開発部門は、新製品開発や新技術開発のほか、製造装置の開発、レーザー装置の開発・販売を担当している。生産部門は、製造第1課、第2課、品質管理課の3つの課で構成されている。第1課は主に試験管製造を、第2課がガラス管など試験管以外の精密ガラス加工製品の製造を担当し、近年昇進した中途採用者がそれぞれの課の課長を務めている。そして、人事・経理などを総務部が担当している。

【第3段落】 技術と製品
A社が開発・製造している製品に関連する精密ガラス加工技術とは、われわれが通常イメージするようなグラスや置物、工芸品を製造する職人的な工芸技術ではなく、絶縁性、透過性、外圧の統制などガラスの持つ特性を最大限活用する高度な加工技術である。かつてテレビに使われていたブラウン管や真空管、放電管なども、精密ガラス加工技術をベースにした関連製品である。

【第4段落】 1⃣
真空成型加工、特殊ランプ加工、ガス加工、延伸加工などの精密ガラス加工技術を活用したA社が取り扱う製品の開発・製造には、ガラス加工技術の知識や熟練技能だけでなく、物理学や化学に関する専門的な知識も不可欠である。A社社長が精密ガラス加工に必要な基礎技術や知識を習得し会社を立ち上げることができたのは、高校卒業後に10年ほど中堅ガラス加工メーカーに勤務し、そこで大手電機メーカーの研究所や大学の研究機関との共同開発のプロジェクトに深くかかわってきたからである。その時に培った人間関係や研究開発に関する技術や経験が、創業から今日に至るまで、A社の経営基盤を成している。


【第5段落】 1⃣2⃣ 新技術、新製品による取引継続
精密ガラス加工技術を必要とする製品分野は、技術革新のスピードが速く、製品ライフサイクルが短い。そのため、サプライヤーは、新しい技術や新しい製品を取引先に提案することができなければ、取引を継続させていくことは難しい


【第6段落】 2⃣これまでの存続と成長
小さな工場を借り、サラリーマン時代の人間関係を通じて、大学などの研究機関から頼まれる単発的な仕事をひとりだけでこなす体制でスタートしたA社も、取引先の要望を超えるアイデアを提案することによって存続と成長を実現してきたのである。その成長スピードは決して速いとはいえないが、精密ガラス加工技術の関連技術を広げながら、今日の研究開発型企業へと発展を遂げてきた。

【第7段落】 2⃣受け身の短命製品
創業から10年余り、依頼に応じて開発・製造した製品の多くは、技術革新や代替品の登場によって2~3年で注文がなくなり、なかなか主力製品に育たなかった

【第8段落】 きっかけ①自社開発のレーザー用製品
A社にとって成長に向けた最初のターニング・ポイントは、レーザー用放電管の開発であった。大学や大手企業の研究機関から依頼を受けて開発・製造に取り組んできたそれまでの製品とは異なって、A社社長のアイデアではじめて自社開発に着手したレーザー用放電管事業はひとつの柱となった。その後10年の時を経て、レーザー用放電管事業はレーザー装置そのもの製品化にもつながり、売上は大きく伸長することになる。

【第9段落】 4⃣ きっかけ② OEM生産と内製化
もうひとつのターニング・ポイントは、レーザー用放電管開発と前後して、現在の主力製品となる理化学分析用試験管のOEM生産を化学用分析機器メーカーから依頼されたことであった。もっとも、この事業がA社の利益に大きく貢献するようになったのは、5年ほど前からである。というのも製造依頼があった当初、分析用試験管の市場規模はまだ小さく、生産量も少なかったし、製造プロセスの多くが手作業であったことに加えて外注した製造設備を使っていたために、良品率が40%以下と著しく低かったためである。その後、試験管の需要増に伴って受注量も増えてA社の売上は少しずつ伸長したが、良品率が低く利益増にはなかなか結び付かなかった。試験管市場の成長を確信していたA社社長は、そうした事態を打破するために製造設備の内製化を決意し、段階的に製造設備の改良・開発に取り組み始めた。着手から5年以上の年月がかかったものの製造設備の内製化を進めたことによって、製造プロセスの自動化を実現するなど量産体制を完成させた結果、良品率は60%程度まで改善した。その後、理化学分析用試験管の品質も向上し、よりコンパクトになったにもかかわらず、良品率60%前後を維持してきた。ここ数年、さらに高精度の分析が可能な製品へと進化を遂げたこともあって高い製造技術が求められるようになっているが、良品率は90%を超えるまでに向上している。

【第10段落】 3⃣ 5⃣ 4⃣ 研究開発も内製化
これらのターニング・ポイントを経る中で、A社社長は、以前にも増して、研究開発力の強化なくして事業の成長も存続も望めないことを痛感するようになった。それまでも、社内で解決できない技術的な問題や、新製品や新規技術に関連する問題が生じた場合には、顧問を務める関連分野の専門家である大学教授や研究機関の研究者からアドバイスを受けてきた。工学博士号を持った社員を5年ほど前から採用し社内に研究室を開設したのも、研究開発力をより強化し、新たな事業分野を開拓するためである。その成果こそいまだ未知数であるが、精密ガラス加工技術を応用した新製品の芽が確実に育ちつつある。さらに、近年、新たに大学院卒の博士号取得見込者を採用し、研究開発力強化に積極的に取り組んでいる。


【第11段落】 1⃣助成金による資金調達
とはいえ、A社のような売上も利益も少ない規模の小さな中小企業が研究開発型企業として生き残るためには、必要な研究開発費を捻出することがもうひとつの重要な経営課題である。レーザー用放電管の自主開発に取り組んだ時代のA社の売上高は1億円にも満たず、社員数も10名に過ぎなかった。そのような企業規模で新規事業のための多額の研究開発資金を捻出することは難しかった。A社が現在進めている新規事業の資金は、大部分が公的助成金によって賄われている。研究開発型中小企業にとって、官公庁の助成金の獲得は極めて重要な資金調達の手段なのである。

◆解答(回答)◆
省略。ご自身手持ちの問題集または再現答案をご利用ください。

■今日のまとめ■
H26事例Ⅰは難しい。
  1. 事例Ⅰはそもそも難
  2. 見知らぬ業態
  3. 類推を要求
  4. 根拠の対応付けもバラバラ
この問題を80分でスラスラ解く奴がいたら、末恐ろしい。従い、受験校の模範解答より、市販再現答案本の受験生解答を身近に感じるのは間違いではない。ただ合ってもないけど。

H26事例Ⅰは難しい。そして合格方法は人それぞれ。虹色の蛍光ペンでも秘伝のスーパー解法フローでもなんでもいいけど。
  • 難しい問題を難しく解いて訳わからなくしてる奴が多いから
  • 難しい問題ほど手抜きして(QCDのQを下げて)、相手の話はちゃんと聞く
のも診断士らしい発想のひとつと思う。ではまとめ。
・問題を解くのでなく、答えと解説見て「対応付け」するなら誰でもすぐできる。
・設問の解答方針は、詳細SWOTもいいけど、ざっくり段落対応付けでも「抜ける」。
・H26事例Ⅰの根拠を設問ごとに色付けすると、とてもカラフル、ジグソーパズル。
・これは難しく解こうと思えば、いくらでも。ではQを下げて手抜きするのはどう?
byふうじん
オープンイノベーションでミライを変える。

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by dojonagoya | 2016-10-05 05:02 | 中小企業診断士試験

中小企業診断士一発合格道場からスピンアウトした6代目とその仲間たちのブログです。


by 中小企業診断士一発合格道場 6代目